3.2.4評価
6500m級潜水調査船用の海中動力源システムとして排ガスを常温に近い領域で液化し排出する事を可能とするため、5〜7MPaという高圧下で燃焼させ旦つ横置型燃焼器を実現させることが求められた。
これを実現するには次の燃焼上の大きな課題が生じた。
?燃焼時は燃料と酸素の拡散速度が小さくなり燃焼の悪化が必至である。
?熱浮力の影響が強く出るためヒータチューブの上下に大きな温度差を生じ燃料の投入量が制限されたり熱効率の大幅悪化が避けられない。
これへの対応として、次の事を検討し実施した。
?燃焼排ガスを燃焼器に再循環させる方式(CGR)を導入し、CGR比3(排気として棄てる分を1としたとき、燃焼器に再循環させる割合を3とする)を実現した。
?導入するCGR全量をバーナ部に設けたスワラーにより旋回流を形成させて噴出させた。(表3.2-7)
?一次燃焼室の先端部に多噴孔(36孔)を持つガス噴出筒を形成させ、噴出した高温燃焼ガスがヒータ内側で持続性のある旋回流を形成する燃焼室を採用した。(表3.2-7)
?燃焼室からヒータチューブを経由してO2十CGR予熱器に入る際、4ヶ所の予熱器入口を温度の低い下部に設置した。(表3.2−8)
等の対策より、定格燃料量において
a.排出CO濃度≦100ppmを実現した。
b.圧力0〜7MPaにおいて再着火できる条件を明白にした。
c.定格燃料時に上下のヒータ温度≦100℃を実現した。
d.上下のヒータ部の吸熱量比として(下/上)吸熱量比を定義した時(下/上)
吸熱量比の目標値である(下/上〉吸熱量比≧0.8を達成した。
以上により、必要な出力を出すための燃焼の要素技術をほぼ確立した。
一方、全体システムの試験において、5MPaのエンジン出力から7MPa時のエンジン出力を推定するため、低温の模擬ヒータを使用して圧力変化試験を実施した。この結果、
e.圧力5〜7MPaの範囲ではボイラー効率の変化は無い。
f.圧力変化・(7−5=2MPa)で(下/上)吸熱量比が3.5%改善される。
等が判った。この結果を利用し5MPa〜7MPaのエンジン出力を推定する。
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